公務員試験の捨て科目とは
公務員試験には、教養・専門合わせると30を超える科目が存在します。
そしてその中には、かけた労力の割に点数に結び付きにくい科目と比較的努力が点数に結びつきやすい科目が混在しています。
そのため、あえて「捨て科目」を作り点数が取りやすい科目に集中することで合格を狙うという戦略が一般的となっています。
公務員試験の捨て科目の重要性
公務員試験において、捨て科目を作らずに全ての科目をまんべんなく勉強することは合格を目指す戦略上かなりの問題があります。
公務員試験は満点を目指す試験ではありません。
100点満点中70点で合格できる試験であれは、70点ちょうどで合格することも100点満点で合格することも、「合格」という点においては同じ価値です。
時間的にも労力的にも、いかに効率的に合格点を目指すかを考えるならば、学習範囲の絞り込み、つまりは捨て科目を作ることは非常に有効な戦略です。
また、現実問題として多くの受験生が捨て科目を作るという戦略を採用している以上、それをやらないことはそれだけで競争上不利となることでもあります。
公務員試験の捨て科目の作り方
捨て科目の作り方は、受験先の試験形式・配点・受験区分・職種によって変わってきます。
また、個人ごとに得意・不得意科目や併願状況も様々であり、受験生ごとに捨て科目戦略は異なるということをまずは理解してください。
そのうえで、基本的な捨て科目を決める際の基準は以下の通りです。
- 出題数が少ない
- 出題数に対して学習範囲が広い
- その科目についてイチから勉強する必要がある
- その科目を捨てても他の科目の得点で合格可能である
このことを踏まえ、
- 志望先の出題科目
- 科目ごとの問題数
- 配点比率
- 合格目標点数
を調べたうえで、自分自身のその科目に対する得意・不得意や現状の知識レベルを加味して捨て科目を決定していきます。
公務員試験の捨て科目の具体例
ここからは、地方上級全国型の教養試験、専門試験を例にして、具体的な捨て科目候補を見ていきます。
なお、ここでは出題数、勉強の難易度のみを基準とした考え方を示すので、個人ごとの得意科目などによっては変わってくる部分もあります。
地方上級全国型の教養試験の出題科目・出題数
- 数的処理 6問 (最重要)
- 判断推理 9問 (最重要)
- 資料解釈 1問 (最重要)
- 現代文 3問 (重要)
- 英語 5問 (重要)
- 古文 1問 (捨て科目候補)
- 法律 3問 (重要)
- 経済 3問 (重要)
- 時事 6問 (最重要)
- 数学 1問 (捨て科目候補)
- 物理 1問 (捨て科目候補)
- 化学 2問 (捨て科目候補)
- 生物 2問 (捨て科目候補)
- 地学 1問 (捨て科目候補)
- 日本史 2問 (捨て科目候補)
- 世界史 2問 (捨て科目候補)
- 地理 2問 (捨て科目候補)
(全50問必須回答)
概要
- 数的処理と時事は最重要。
- 現代文・英語は出題数は多いものの、難易度はあまり高くなく、あまり
- 強時間をとらなくても高得点を狙える。
- 古文は捨て科目候補筆頭。
- 社会科学は専門試験の勉強でカバーできるため、教養試験のための個別対策は不要。
- 人文科学・自然化学は、センター試験などで受験した科目のみ勉強する。
地方上級全国型の専門試験の出題科目と出題数
- 憲法 5問 (最重要)
- 民法 4問 (最重要)
- 行政法 5問(最重要)
- 刑法 2問 △
- 労働法 2問 △
- 政治学 2問 (重要)
- 行政学 2問 (重要)
- 社会政策 3問 (重要)
- 国際関係 3問 (重要)
- ミクロ経済学 4問 (最重要)
- マクロ経済学 5問 (最重要)
- 財政学 3問 (最重要)
- 経営学 2問 △
(全50問必須回答)
概要
- 憲法・民法・行政法・ミクロ・マクロ経済学は最重要。
- 行政系科目は過去問を解く程度で大丈夫。
- 財政学はミクロ・マクロ経済学を理解していれば学習に時間はかからない。
- 刑法・労働法・経営学は捨て科目候補。ただし労働法は簡単なので、余裕があれば手をつける。逆に刑法は難易度が高く、配点が低いので捨て科目候補筆頭。
なお、基本的に捨て科目の勉強はする必要はありませんが、頻出のごく限られた範囲のみ勉強したり、教材を何回か読む程度の勉強をしておくことも選択肢としてはありです。
その際には、そこで点数を拾えたらラッキーくらいのつもりで深入りしないように気をつけましょう。
まとめ
ここまで見てきたように、捨て科目を作ることは合格に必要な勉強が何であるかを見極め、効率的に学習を行い合格を勝ち取るための戦略です。
そして、繰り返しにはなりますが捨て科目戦略は個人個人で異なります。
くれぐれも別の自治体を受ける人の話や、一般論などで決めてしまわないように、しっかりと自分自身で試験を分析して決めるようにしてください。